プロダクトアウト(product out、product oriented)とは、市場(マーケット)のニーズよりも、企業側(売り手)の意向や論理を優先して、製品やサービスを開発し、それらを市場に導入する考え方です。
より簡単に言えば、「作りたいものを作る」というイメージです。
成功したプロダクトアウトの事例としては、例えばSonyの「ウォークマン」や、アップルが開発した「iPhone」や「Macコンピューター」などが挙げられます。
一方、お客のニーズを優先し、顧客視点で商品の企画・開発を行うことを「マーケットイン(market in、market oriented)」と言います。きちんと市場性を見極めた上で商品開発に着手するため、ある意味「手堅いやり方」と言えるかもしれませんね。
例えば顧客アンケートを実施し、アンケートの集計結果を基にして新商品を開発したり、すでに存在するヒット商品に便乗する形で類似製品をリリースするなどは、マーケットインの考え方です。
それでは、企業(売り手)はプロダクトアウトとマーケットイン、どちらの考え方を採用すべきなのでしょうか?
「お客様の声を聞いた上で商品を作るのだから、マーケットインの方が確実では?」
という意見もあるかもしれません。
実際マーケットインの方が手堅いかもしれませんが、そこには「お客様は自分が欲しい商品を知っていて、企業側に教えてくれるはずだ」という前提があります。しかし、本当にそうでしょうか?
顧客調査などで集められる意見や要望は、「顕在化しているニーズ」でしかありません。
お客様は自分が本当に欲しい商品について、理解していない可能性もあるのです。
例えば、エジソンが電球を発明する前に人々が求めていたのは「より優れた蝋燭やランプ」であって、決して「電球」ではありませんでした。同じく、先人は「より早く、長い距離を走れる馬」を必要としていましたが「自動車が欲しい」とは考えていなかったはずです。
このことからも分かるように、100%マーケットインの考え方を採用するのは、企業にとって大きな損失につながる可能性があると言えます。
一方、プロダクトアウトに偏り過ぎると「誰からも求められていない独りよがりの商品開発」につながりかねません。購入の最終決定権は買い手側にありますので、きちんと消費者ニーズを踏まえた上でプロダクトを提案していく姿勢が求められます。
このように、どちらにも一長一短ありますので、両者をバランス良く取り入れていきましょう。